大阪地方裁判所 昭和44年(ワ)7038号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕二、責任原因
(一) 被告会社
請求原因第二三(一)の事実は当事者間に争いがない。
被告会社の免責の主張について判断する。
<証拠>を綜合すると、本件事故現場は南北に通ずる車道の幅約一七、〇八メートルの道路と東西に通ずる車道の幅約六、四五メートルの道路とが交差する信号機の設置されている交差点内であり、右交差点に北から入つている道路の前行車線は三車線となつており、最高速度は時速五〇キロメートルと指定されていたこと、被告江口は、加害車を運転して、北から南に向つて東端の車線を進行し、北からの交差点への入口にある停止線の手前で信号待ちのため一旦停車し、対面の信号が青になつたのをみて発進し、時速一五ないし一八キロメートルで南に向つて交差点内を直進通過しようとし、道路東側の歩道から約一、六メートル西側を進行して加害車の前輪部分がすでに交差点を通過し終つたとき、加害車の左側の車体に衝突音がしてショックを感じたのですぐブレーキをかけ、約三メートル進んで停止したこと、藤木利張は、本件事故当時一六才で、運転免許がないのに、友人から被害車を借りてこれを運転し、車から西に向つて時速約五〇キロメートルで進行中、前方の交差点の対面信号が赤になつたのを認め、交差点の一五メートル以上手前からブレーキをかけたが、被害車が約一五メートルスリップし、交差点の東側入口附近の横断歩道上で被害車が横転してそのまま前方に約四、五メートル滑走して交差点内に進入し、藤木利張は前方に放り出されて交差点内に飛び出し、折から交差点を通過し終ろうとしていた加害車の左側後輪附近に衝突して轢過されたことが認められ、右認定に反する証拠はない。以上の事実によれば、本件事故は、藤木利張が無免許で運転未熟であるのに被害車を時速五〇キロメートルもの速度で運転していたため、交差点の対面信号が赤であつたのに交差点手前で停止することができず、自ら運転を誤つて転倒し、交差点内に放り出されるような状態で飛び出した過失にもとづいて発生したものであり、被告江口は、青信号に従つて制限速度を遵守して交差点を通過していたものであつて、赤信号であるのに左方道路からとび出してくるもののあることまで予測して運転するべき注意義務はないから、被告江口は加害車の運行に関し注意を怠らなかつたものというべきであり、かつ加害車の構造上の欠陥および機能上の障害の有無は本件事故と全く因果関係がなかつたことを認めることができる。
従つて被告会社は、加害車の運行供用者としての責任を負わないものというべきである。
また被告江口には本件事故発生について過失がなかつたことは前記のとおりであるから、被告会社は、被告江口の使用者としての責任を負うものでないことは明らかである。
(二) 被告江口
被告江口には本件事故発生につき過失がなかつたことは前記二(一)のとおりであるから、被告江口は不法行為責任を負わない。 (山本矩夫)